不倫(不貞行為)の慰謝料金額・相場等について

不倫や浮気の慰謝料の金額については、養育費や婚姻費用の算定表のようなものは存在しません。過去の裁判例を参考にして、おおよその見当をつけるしかありません。

裁判においては、諸般の事情を考慮に入れたうえ、ケース・バイ・ケースで結論が出されます。したがって、同じように思える事案であっても、当該事案に特殊な部分があれば、結論は大きく異なることになります。そして、各事案にはそれなりに特殊な部分があるものです。そのため、不倫の慰謝料の金額について厳密に予測することは不可能といってよく、その意味では不倫慰謝料の相場はないといってもよいでしょう。

ただし、事案の概要における共通性や特殊性に照らして、金額の大まかな範囲(相場のようなもの)を提示することは可能といえます。

不倫(不貞行為)の慰謝料の仕組み

不倫の慰謝料の金額・相場を考えるうえでは、次のような不倫慰謝料の仕組みを知っておくとよいでしょう。

一般的に「不倫の慰謝料はいくら」といったように、不倫の慰謝料というものを、単純に漠然と考えてしまうことが多いように思えます。「不倫の慰謝料は50万円から300万円の範囲に収まる。」といった話をよく聞きくためか、不倫の被害に遭えば、「300万円」請求できる、と思っている人も多いように思われますが、あまりにも乱暴な話です。このような誤った発想が出てくる理由は、慰謝料額を大ざっぱにとらえ過ぎていることが原因の一つであると思います。もう少し分析して捉えた方が、より妥当な慰謝料金額を導き出しやすいように思えます。

不倫の慰謝料請求は、通常、不法行為の損害賠償としての請求なので、不法行為の損害賠償請求を成立させる要件との関連で、次のような分類をすることが可能です。つまり、不法行為の損害賠償請求権が成立するためには、「損害の発生」や「行為の違法性」を必要とし、「損害」の程度が大きければそれだけ賠償金額も増え、また、「行為の違法性」の度合いが強ければそれだけ賠償金額も増えます。そこで「損害」と「行為」に着目して次のような4分類にすることができます。

  • 不貞行為が原因となって、婚姻関係が破綻して、離婚に至った場合
  • 離婚には至らなかった場合
  • 不貞行為をした配偶者に対して請求する場合
  • 不貞行為に加担した不倫交際相手に請求する場合

婚姻関係が破綻して、離婚に至った場合

いわば最悪の結果であって、慰謝料額は大きく上がります。

例えば、週1回のペースで1回6時間共に過ごす不倫交際を6か月間続け、その他の条件もすべて同じであると仮定した場合であっても、その結果が離婚に至らなかった場合と、離婚に至った場合では、慰謝料の金額に大きな違いが出ます。前者が100万円である時に、後者が300万円となっても不思議ではありません。同じような外観を呈する不倫交際であっても、それがもたらした結果によって、負うべき責任は大きく変わってくるのです。

ただ、通常、不倫交際の最中、特に最初の数か月の間は、その不倫交際がもたらす結果を予想しえないことが多いと思います。週1回のペースで1回6時間共に過ごす不倫交際を6か月間続けた場合であっても、それがもたらす結果は様々で、容易には予想できないでしょう。このように結果の予想が困難であるにも拘わらず、また、全く同じような行為をしているにも拘わらず、生じた結果については責任を取らなければなりません。この点について、やや疑問を感じる方もいるかもしれません。特に不倫交際の相手方(第三者)の場合は、婚姻関係の行く末について関与できない立場なので、たまたま生じてしまった離婚という結果について責任をとることに対して、違和感を覚えるかもしれません。

しかし、もともと不貞行為は婚姻関係を破たんに導く典型的な行為であるために違法とされています。ガソリンスタンドが火気厳禁であるように、婚姻関係の継続に不貞行為は厳禁なのです。したがって、不貞行為をした、あるいはそれに加担した時点で、離婚という結果について予期していなければならないことになり、慰謝料額の増加は不貞行為に伴う当然の結果にすぎず、偶然生じた結果ではないということになります。

離婚には至らなかった場合

離婚した場合と比較して、慰謝料額は下がります。不貞行為を原因とした被害が比較的少なく済み、いわば不幸中の幸いといったことになります。

ただし、離婚に至らなかったといっても、その内実は千差万別で、離婚届を提出していないだけで婚姻関係が事実上破たんしてしまった関係もあれば、不貞行為がもたらした混乱も一応おさまり不安定ながらも婚姻関係が健全に継続していく関係もあります。したがって、離婚に至らなかった場合とは、法律上婚姻関係の破たんが確定した状態ではないというだけであり、婚姻関係の内実を検証したうえで、個別に損害額が定まってくるということになります。色に例えれば、同じグレーでも黒に近いグレーもあれば白に近いグレーもあるということです。

不貞行為をした配偶者に対して請求する場合

不貞行為は婚姻中の男女に課される貞操義務に違反する行為です。したがって、配偶者は貞操義務に違反し、婚姻共同生活の平穏を直接的に壊しているということになります。したがって、違法性の程度は不倫交際の相手より大きいということになり、慰謝料額も増加するということになります。

ただし実際上、不貞行為の結果、離婚に至らなかった場合は、配偶者に対して慰謝料請求しないことが多いです。夫婦別産制で慰謝料として配偶者から取得した財産は固有財産となりますが、実際上、夫婦は財布を共通にする感覚が強く、配偶者に対する慰謝料請求の実益を感じないことが理由であると思います。

不貞行為に加担した不倫交際相手に請求する場合

配偶者に対して慰謝料請求する場合に比較して慰謝料額は一般的に低下します。不貞行為に加担した不倫交際相手は、貞操義務を課されているわけではなく、不貞行為が必ず相手方を必要とすることとの関連上、その責任を問われているにすぎません。不貞行為との関係では第三者ということになり、その責任は副次的なものとなります。

平穏な婚姻関係を維持する責務は本来的には婚姻中の配偶者相互によって果たされるべきもので、第三者である不倫交際相手の責任を否定する考え方もあります。しかし、日本における健全な家族関係を維持するためには、不倫交際相手の責任を肯定する必要があるとの政策的判断もあって、不倫交際相手の責任は肯定されています。最高裁判所も次のように判示しています。

【判例】
夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は、故意又は過失がある限り、右配偶者を誘惑するなどして肉体関係を持つに至らせたかどうか、両者の関係が自然の愛情によって生じたかどうかにかかわらず、他方の配偶者の夫又は妻としての権利を侵害し、その行為は違法性を帯び、右他方の配偶者の被った精神上の苦痛を慰謝すべき義務があるというべきである。

ただし、不倫交際相手の行為態様、例えば不倫関係において主導的役割を果たしていたことなどによっては、違法性の程度が高まるので注意が必要です。

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請求額と妥当な金額という二種類の慰謝料額

慰謝料額の話において、よく混同して話されるものとして、慰謝料の請求額と妥当な金額があります。

慰謝料の請求額は、被害者(不倫をされた配偶者)が加害者(不倫をした他方配偶者やその交際相手)に請求する金額であり、基本的に金額に制限はありません。交際期間が一週間程度の一夜限りの不倫で、婚姻関係に大きな影響がなかった場合であっても、500万円請求することもできます。加害者が応諾すれば、500万円を取得することが可能です。ただし、支払い能力の問題は残ります。

これに対して、妥当な金額とは、仮に当該事案で訴訟となった場合に認容されるであろう金額で、いわゆる相場に近いものです。これは当事者の意見によって決まるものではなく、当該事案をできる限り客観的に見て決せられるものです。上の例での妥当な金額が150万円を超えることはないでしょう。被害者側は高めに、加害者側は低めに考える傾向がありますが、それらによって影響されるものではありません。妥当な金額を考えるうえでは、加害者の支払い能力も加味されます。支払い能力というものは、実は非常に重要なものです。この点を軽視するとなかなか問題は解決しません。また、解決したように見えても、支払いが滞り、結局、話の蒸し返しになるだけです。

被害者が慰謝料請求する際には、様々な要素を勘案して最初の請求金額を決めます。ネットなどから「慰謝料の最高額は300万円」という知識を得て、事案の特殊性を考えず300万円を請求する場合をよく見かけます。しかし、どんな事案であっても最高と思われる金額を請求することには、あまり感心しません。問題の解決を遅らせるだけだからです。請求額は自由に決められますが、妥当な金額を意識したうえで、決めるべきでしょう。

不貞行為の被害者は救済されなければならず、法律上、損害賠償(慰謝料)を請求することができます。この損害賠償というものは、例えて言うなら、地面にあいた大きな穴が損害であり、その穴を埋めるために必要とされる土のようなものです。そして慰謝料額は穴を埋めるために必要とされる土の量であり、山盛りに積むことは認められません。また、精神的苦痛は、目に見みえるものではなく、無限に広がりかねないものですし、もともとお金に換算できるものではないでしょう。そういった性質のものについて、被害者を救済するために、無理にお金に換算している事情がありますので、慰謝料の金額は、当該事案の背景事情から客観的に決まってくるもので、「精神的苦痛」「慰謝料」という言葉から想像されるような心理的な事情によって決せられるものではないと考えておいた方がよいでしょう。被害者の立場からは、あまりに低いと感じられる慰謝料額であっても、客観的な事情を考えると、満足しなければならないことも多いと思います。したがって、請求する金額は自由に決められるといっても実は自由ではなく、その事案における客観的事情から妥当な金額が導き出され、それに交渉の駆け引きとして上乗せした金額を合わせた金額が請求額ということになるでしょう。

逆に、加害者の立場に立つと、不貞行為は違法行為であり、当然それに伴う責任は果たさなければなりませんが、必要以上に支払うことはないということになります。加害者は負うべき責任を負うのであって、加害者の弱い立場につけ込まれる形で、不当に高額な金額を要求された場合は、そのような要求を拒絶して、妥当な金額を提示することは、当然の権利と考えられます。

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不倫(不貞行為)の慰謝料の金額相場について

不倫慰謝料の「相場」として、「過去の裁判例から考えて、だいたい50万円から300万円におさまる。中には300万円を超える場合もある。」といった記述を見かけます。間違いではありませんが、非常に曖昧で正確性を欠く記述です。

「相場」というのは「市場で取引されるその時々の商品などの値段」のことをいい、流動性を認めながらも、取引実績から客観的に定められたその対象物の値段のことをいいます。しかし、不貞行為の慰謝料については、裁判という取引実績から一定の客観的数値を導き出すことはできても、対象となるものが商品のように画一性を有することはありません。つまり、似たような事案はあっても全く同じ事案はなく、事案ごとに何らかの特殊性があるものです。そして、その特殊性によって、慰謝料の金額は大きく違ってきます。対象物の画一性が認められない限り、「相場」というものを提示することは不可能だと言えます。

また、冒頭の例の「50万円から300万円」は過去の裁判例ではこのように言えなくもありませんが、昨今は慰謝料額が著しく下がってきていると言われています。たしかに300万円、あるいはそれを超える金額が認容されているケースもありますが、非常にまれな例と考えた方がよいでしょう。

また、「300万円を超える場合」とは、離婚が伴う場合で、この300万円の中には、扶養的な財産分与の意味や、離婚そのものの慰謝料の意味が含まれている場合もあり、必ずしも「不貞行為の慰謝料額」を意味するものではない点も注意が必要です。

このような前提のもとに、以下、「不倫(不貞行為)の慰謝料の仕組み」で挙げた4類型にしたがって、おおよその金額を掲載しますが、あくまでもご参考にとどめておいてください。

婚姻関係が破綻して、離婚に至った場合

●不貞行為をした配偶者に対して請求する場合

   150万円から300万円超

●不貞行為に加担した不倫交際相手に請求する場合

   100万円から200万円

離婚には至らなかった場合

●不貞行為をした配偶者に対して請求する場合

   50万円から200万円

●不貞行為に加担した不倫交際相手に請求する場合

   30万円から150万円

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不倫(不貞行為)の慰謝料の算定時に考慮される要素

慰謝料は精神的苦痛という損害に対する賠償です。精神的苦痛という大きな穴が掘られたとして、その穴を埋めるものが慰謝料です。しかし、土に掘った穴と違い、精神的苦痛というものは目で見てわかるものではありません。そのため、精神的苦痛を金銭評価するために、諸般の事情が考慮されることになります。

具体的には次のような要素が考慮されると言われています。

  • 婚姻関係破綻の有無・程度
  • 婚姻年数
  • 年齢
  • 不倫交際期間
  • 不貞行為の回数・頻度
  • 加害者(支払いをする者)の年収
  • 社会的地位(事実上の力関係)
  • 不倫交際についての積極性
  • 不倫の前歴の有無
  • 不倫交際の態様(同棲・妊娠の有無など)
  • 交際停止の忠告に従ったか否か

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なぜ示談・和解をした方がよいか

不倫の被害に遭ってしまうと、言いようのない深い悲しみと怒りに包まれ、自分自身を失ってしまいます。このような状況から脱するために、悲しみや怒りを不倫をした配偶者やその交際相手にぶつけることになりやすいです。そのため、途方もない金額を相手方に請求したり、相手方の些細な対応上の落ち度に執着したりすることになります。こうなると当事者同士の話し合いでは解決できず、訴訟を提起し、裁判で決着をつけることになります。不倫の被害に遭った方のこうした心情は非常によく分かるので、このような方法も一つの解決の仕方として否定できないと思います。

しかし、一歩引いて考えてみると、お金の面でもっと合理的な方法があることが分かります。それが当事者同士の話し合いで解決する方法、つまり示談・和解をすることです。示談・和解するためには、相応の妥協をしなければなりません。このような妥協ができない事情があるから、訴訟となってしまうのだとは思いますが、金額に関する限り、妥協した方が却って獲得金額が上がる可能性は十分にあります。

つまり、訴訟となると、訴訟費用と通常、弁護士費用が生じます。訴訟となっても、本人で訴訟追行をするのであれば別ですが、通常は弁護士に依頼し、弁護士費用が生じます。そして、この弁護士費用は非常に高額です。弁護士費用の内訳は着手金と成功報酬ですが、着手金は訴額の6から8%、成功報酬は認容額の15から18%程度となります。例えば訴額が300万円で認容額が100万円であった場合、着手金が21万円程度、成功報酬が17万円程度ということになり、あわせて38万円程度を依頼者が負担しなければなりません。結局、この場合に獲得できる金額は100万円-38万円で62万円ということになります。裁判で弁護士費用の相手方負担について、10%認められたとしても、67万円の獲得ということになります。認容されるであろう金額が300万円を超えるようなケースでは、多額の弁護士費用が生じても、それに見合う大きなお金を獲得できるので、訴訟の価値はそれだけ高まると思われますが、認容されるであろう金額が150万円以下の場合は、弁護士費用の負担感覚は大きくなります。

このケースについては、結局、あと30万円程度は妥協することが可能であったことになり、そうすれば、時間的にはもとより金額的にも当事者にとって有利な解決が可能であったことになります。不倫の問題は感情の問題といっても過言ではないので、妥協したくない心情は分かりますが、実際上、妥協して示談・和解をすることは、思った以上に得られる利益が多いのです。訴訟によった場合でも、実際は判決まで至らずに、代理人弁護士同士で、訴訟上の和解がなされることが多いので、代理人を通じて妥協を迫られることが通常です。

なお、このような提言は、不倫に関連してお悩みになっている方の立場に立ち、何が最もその方の利益になるのかを真剣に考えた末の結論です。訴訟による問題解決を否定するものではありません。念のため、訴訟による解決も十分に理由がある、あるいは、それもやむを得ないと考えられる場合をあげておきます。

  • 離婚訴訟に伴う場合
  • 300万円を超える慰謝料額を見込める場合
  • 一切の妥協をしたくない場合(慰謝料の問題をほぼ100%感情の問題と捉えている場合)
  • 懇意にしている弁護士がいる場合
  • 相手方が全く妥協する姿勢を見せない場合(話し合いが決裂した場合)
  • とにかく訴訟で白黒はっきりさせたい場合
  • 債務名義が欲しい場合

不倫の問題が長引くと、関係者は本当に疲れ果ててしまいます。できる限り、示談・和解で問題解決を図りたいものです。

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金額では表されない要素

不倫の問題解決にあたり、一番わかりやすく誰もがこだわりを見せる点は、慰謝料の金額です。不倫の問題は基本的に感情の問題なので、気持ちの面で納得いく結果が得られる解決方法があれば、それが一番よいのですが、その具体的な方策として考えられるものには、あまりバリエーションがなく、やはりお金による解決が最もシンプルかつ効果的ということになります。また、法律上も、不法行為の被害者の救済手段としては、金銭による賠償を基本としています。そのため、慰謝料の金額にこだわることは当然のことといえるでしょう。実際上、金額には加害者側の誠意が反映されることも確かなことといえます。

しかし、金額では表されない要素があることも確かなことです。特に、加害者側にいえることですが、私的な交渉において、金額面で妥協ができず訴訟となった場合、失われるものは、思った以上に大きいです。なかでも、プライバシーや名誉の点で大きな影響がもたらされます。訴訟となると、否が応でも住所地へ裁判所から裁判関係の書類が送られてきます。また、証拠調べにおいて、不倫交際というあまり他人に知られたくない事実が、明るみになってしまいます。裁判は半年程度はかかるので、その間様々な不安に苛まれ、勤務先においても憶測を交えて、噂話の対象となることも珍しくはないでしょう。

私的な話し合いの結果、示談・和解をすることができれば、このようなリスクを避けることができます。こうしたリスクを避けることがもたらす価値は金額では表されません。しかし、実は非常に価値が高いもののように思われます。慰謝料の支払いにより金銭を失っても、また、回復することは可能でしょうが、一度失った名誉やプライバシーを回復することには非常に多くの困難が伴います。そのように考えると、例えば150万円を請求され、100万円以上は絶対に払わないとして、妥協せず、訴訟にもつれ込んだ場合、たとえ150万円の請求が、事案の特殊性から考えると高額に過ぎると思われても、150万円を支払って示談した方が、実は残るものは多いとも言えます。

慰謝料の金額の妥当性を考えるにあたっては、このような金額では表されない要素も加味して、考えるべきといえます。

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不貞行為をした者と不倫交際相手との関係(不真正連帯債務)

不倫の慰謝料請求をする場合の相手方としては、不貞行為をした者と不倫交際相手の2人がいます。どちらか片方のみに請求してもよいし、両方同時にしてもよいです。

不貞行為があった場合には、不貞行為をした配偶者とその交際相手が共同して、不貞行為をされた配偶者が有する権利を侵害していると考えられ(共同不法行為)、不貞行為をされた配偶者は不貞行為をした配偶者とその交際相手に対して、不法行為の損害賠償請求権(慰謝料請求権)を取得することになり、不貞行為をした配偶者とその交際相手はそれぞれ損害賠償債務(慰謝料債務)を負うことになります。

不貞行為をした配偶者とその交際相手が負担する債務は、本来的には別個の債務ですが、2人で共同して1つの不法行為をしているという関連性を持っていることから、それぞれが負担する債務にも関連性が持たされています。これを不真正連帯債務といいます。

不貞行為をした配偶者とその交際相手が負担する債務は、本来的には別個の債務で、責任の割合によって、それぞれが単独で負担する債務額は決まっているのですが、不真正連帯債務であることによって、各債務者の負担額に拘わらず、両者の負担額を合算した総額をいずれの債務者に対しても全額請求することが可能となります。

例えば、不貞行為をした配偶者が100万円、その交際相手が50万円の債務を負っていたとしますと、不貞行為をされた配偶者はそのどちらに対しても、100万円と50万円を合わせた総額150万円全部を請求することができます。

ただ、こうなると50万円しか負担していない交際相手は、不貞行為をした配偶者の負担分の100万円まで支払わされて、酷なようにも思えますが、交際相手はその100万円について、不貞行為をした配偶者に請求できることになっています(求償権)。

不真正連帯債務の主な目的は、不法行為に遭ってしまった被害者を救済することにある、つまり、損害賠償金を債務者から回収しやすくすることにあると考えられています。

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