離婚の慰謝料

「慰謝料」とは、相手の行為によって受けた精神的苦痛に対して支払われるお金、損害賠償金のことです。

慰謝料は、財産分与とは異なり、離婚の際に必ず請求できるものではなく、精神的苦痛を受けた側が離婚原因をつくった相手に対してのみ請求できるものです。一般的に結婚生活の中で相手が浮気をしたとか、暴力(DV)をふるったなどの不法行為があり、相手の責任が明らかな場合に請求が可能になります。このとき、証拠となるものがあると有利です。

離婚の慰謝料には、相手の不貞、悪意の遺棄、暴力など、いわゆる法律で定められた離婚事由に相当する、相手の不法行為などによって被った精神的苦痛に対する離婚原因慰謝料のほかに、離婚させられることによる精神的苦痛への離婚自体慰謝料があります。
離婚自体慰謝料は、たとえば夫婦仲がよく、円満な結婚生活を送っていると信じていたところに離婚を切り出され、理由もわからず離婚を受け入れるしかなかった場合の、やり場のない苦悩、配偶者の立場を失う苦痛に対して、慰謝料を請求するものです。これもある意味の離婚理由と考えられるので、離婚原因慰謝料と区別せずに扱うことが多いです。

慰謝料は、どちらが離婚の原因をつくったのか、慰謝料を支払う側ともらう側の立場をはっきりさせることが第一段階です。当然ですが、精神的苦痛を受けた側がもらうものですから、必ずしも妻が慰謝料をもらう側とは限りません。夫がもらう側になることもあります。

また、慰謝料を請求しないことも自由ですが、離婚後の経済的な観点からも精神的苦痛を受けた場合は、請求した方が良いでしょう。

慰謝料が認められる場合
●相手の不貞(不倫)
●悪意の遺棄(同居の拒否など)
●身体的、精神的暴力行為
●生活費の不払い
●ギャンブルなどの浪費癖
●過度の飲酒癖
●性行為の拒否、強要、不能
●相手方からの一方的な離婚の申入れ

慰謝料が認められない場合
●性格の不一致
●強度の精神的疾患
●有責行為が双方に同程度ある場合
●信仰上の問題
●相手方の親族との不和
●有責行為がない場合
●すでに夫婦関係が破綻していた場合

なお、不貞行為(不倫)の場合、精神的苦痛を受けた配偶者は、不倫相手に対しても、慰謝料として損害賠償を請求することができます。

慰謝料の算定

慰謝料の金額は、法律によって明確な基準が定められているわけではありません。さまざまな要因を総合的に考慮して算定します。
結婚生活の破綻の責任の所在、婚姻や別居の期間、精神的苦痛の度合いなど様々な要因を考慮して算定します。
不貞、暴力、夫婦の同居義務・協力義務・扶助義務違反、通常の性行為の拒否、過度の飲酒、ギャンブルなどの浪費、異常な性行為の強要などは、慰謝料の請求に値する有責行為とみなされます。
しかし、離婚理由としてもっとも多い性格の不一致は、よほどのことがない限り、有責行為の判断が難しいため、慰謝料の対象にはなりません。親族との問題、宗教上の問題なども、基本的には対象外とされます。
なお、慰謝料を請求する側にも責任がある場合は、減額されることもあります。

慰謝料の金額は、離婚裁判の過去の判例を参考にすると、不貞行為や暴力などの有責行為が明確になっている場合で300万円~500万円、婚姻を継続しがたい重大な事由の場合で50万円~200万円が相場といえそうです。
●浮気・不倫 100万円~500万円
●悪意の遺棄(別居など) 50万円~300万円
●暴力(DV) 50万円~500万円
●性行為の拒否 0~100万円
●突然に離婚を言いだされた場合 0~100万円

財産分与と慰謝料とは別の権利ですが、現実の財産分与の支払いは慰謝料と明確に区別せず、合算する場合もあり、財産分与は慰謝料の性格をもつこともあります。
財産分与の中に慰謝料などの損害賠償の給付が含んでいる場合は、あらためて慰謝料の請求はできないので、慰謝料が含まれているかをしっかり確認する必要があります。
財産分与に慰謝料が含まれていても、精神的苦痛を慰謝するのに足りない場合は、別に慰謝料を請求することも可能です。

慰謝料の請求

慰謝料の金額や支払方法は、協議離婚の場合、夫婦の話し合いで取り決めます。話し合いはできるだけ離婚前にした方が良いでしょう。いったん離婚が成立した後では、相手も話し合いに応じてくれない場合もあり、慰謝料を値切られてしまう可能性もあります。
その他の離婚ならば、それぞれの法的な手続きの過程において、他の条件と一緒に決めていくことが一般的です。

取り決めた事項は、トラブル防止のために文書にして残しておいた方が良いでしょう。さらに、双方の合意文書だけでは法的な強制執行力がないので、合意内容を強制執行認諾付きの公正証書にし、最悪の場合には差し押さえなどの強制執行ができるようにすることが望ましいです。

また、慰謝料を確実に受け取るには、一括払いにすることが良いでしょう。分割払いの場合は、初回の支払い額をできるだけ多く設定し、毎月の支払い期間、支払い金額、支払いが停滞した場合の措置(遅延利息等)も書面に記載しておきましょう。

慰謝料の時効

慰謝料の請求権は、不法行為に基づく損害賠償請求権ですので、離婚が成立した日から起算して3年で時効となります。3年を経過したら慰謝料を請求することができなくなりますので注意が必要です。

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